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下北沢再開発の何が問題か。

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記事初出:2007年07月12日 seesaaブログからの引っ越し。
未だ続く問題で根本の問題点は今もかわっていないため転載しとく。

昨日の記事、まもれシモキタ!行政訴訟の会の続きです。

そもそも、大分昔に計画されたこの道路事業が、なぜ急に復活したのか。計画が立案されたのは、昭和21年。高度成長前である。
なぜ、この事業がなかなか着手されなかったかと云うと、住民による反対運動があったから。計画を認可した国を相手取って、一審で勝訴までしていたりして、全国的な注目を浴びた。
しかし、ここに来て小田急線の混雑緩和のための、駅の地下化が決定。世田谷区は、これによって、駅跡地に大きな開発用地を持つこととなり、話が急展開。駅前広場の設置と、それと繋がる補助54号線の計画を決定。この二つを柱に、世田谷区は、下北沢駅周辺の地区計画を作り上げた。
実際に巨大道路が出来るのは、北口商店街の方だが、この地区計画自体は、もっと広範囲の地区を対象としている。こちらのリンクの黒い枠で覆われた部分が対象。

この地区全体で、「壁面後退」を誘導し、建物の容積率の緩和し、より高い建物を立てれるようにしよう、という計画です。

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上手く説明できているか不安ですが、前回の日記で挙げた3つの要素は、このように絡み合っています。

では、この再開発計画の何が問題なのでしょう?
世田谷区は、住民の方のご意見を聞きながら進めてきた、と云っているが、なにを根拠にそんなことを云っているのか。行政側の拠り所は、駅地区の計画意見書募集なのだが、この意見書の中立性が疑われている。意見書として出回った用紙の多くは、すでに最初から「私は地区計画に賛成です」と印刷されていた「ひな型」の用紙だった。その用紙には、賛成理由まで添付されていた。
区の釈明としては、意見書の書き方がわからないので、ひな型を作った、というものだった。集計の結果、賛成意見のほとんどは、そのひな型をほとんどそのまま用いたものであった。これには明らかに「ひな型」を用いた世論誘導の疑いがある。ただ、面白いのは、それでも集計結果は、反対6割、賛成4割であったということ。
世論誘導の疑いさえ生じていて、尚かつ反対の方が多いのに、一体どうして「住民の意見は充分に伺った」などと云えるのか。
また、専門家の実施した住民アンケートでも7割が反対、という結果になっている。
そして、昨年10月18日に、充分な審議が無いまま、地区計画を強行採決し、直後に審議会会長以下、3名の学識経験者が辞任するという事態が起こっている。

さらに、世田谷区が道路を作る理由として挙げている「防災対策」。これにも疑問がある。
区長は、文書による解答で、「実際に商店街で火事があった際、消防車が入れず、消火活動が遅れた「悲惨な過去」があった」と云うが、実際のこの火事による被害は、「怪我人1人、類焼なし」。火事は、小さなものでも出さないに越したことなはいのだが、これはそんなに「悲惨」な火事か?
当然、これから先、大きな火事が起きる可能性はある。では実際に下北沢は、消火活動に支障をきたす恐れはあるのだろうか?
東京消防庁によると、「特段の危険は無い」とのことだ。この消防庁の解答を受けて、世田谷区の道路整備部長の板垣正幸氏は、「消防庁がそう云っているとしても、そんなことを区民に伝える必要はない」と、異様な発言をしている。
そもそも、大きな道路を作れば、それだけ道路交通量も多くなるはずだから、それだけ交通事故も増えるし、排気ガスによって空気も汚れる。街の防災のためというなら、むしろ巨大な道路を作ることは、逆効果につながる恐れもあるのでは?

このように、この再開発決定のプロセスには、多くの違法性が散見される。

しかし、そこまでしてなぜ、行政はこの再開発を押し進めたいのか?この道路が出来ることによって、実際に下北沢がどう変わるのか?それによって、誰が徳をするのか?
それらについては、また長くなるので、次に書きます。

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