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【メルマガレビュー】津田大介 @tsuda の「メディアの現場」Vol.29

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他のメルマガも感想を書いてますので、津田マガの感想も書いておきましょう。

今週発行の「メディアの現場」は先週ぶんです。事情を知らない方には何を言ってるかわからないと思いますが。

なんかこう時を操る能力があるとかではなく、それくらい発行が送れるのがデフォであり、2月には一週間休んで立て直すとツイートしていたにも関わらず、関係者一同開き直っている感があります。

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そんないい加減な発行体制にも関わらず許されているのは、ひとえにメルマガとは思えないほどの分量と、内容の豊富さにあります。それでも最近の発行の遅れ具合はもうネタにできるレベルじゃないので、粛々と立て直していただきたいと思います。

さて今回の津田マガは、InstagramのCEO、ケビン・シストロム氏のインタビュー(2011/1月の収録)、南三陸長のホテル観洋の女将さんのインタビュー、宮城県南三陸町伊里前地区の伊里前契約会会長・千葉正海さんのインタビュー、過去記事で2008年のダウンロード違法化(でも罰則つかない)が決定した時の特集記事、Q&A、原発情報クリッピング、速水さんの本のレビュー、『性欲の科学――なぜ男は「素人」に興奮し、女は「男同士」に萌えるのか』オギ・オーガス、サイ・ガダム(阪急コミュニケーションズ) 、@sammy_sammy さんのメルマガレビュー。

ああ、あとネオローグユニオンもあるわ。

InstagramのCEOのインタビューは津田さんのInstagram好きがよく伝わってくる楽しげなインタビューになっています。この時点では日本人ユーザーが全体の25%ほどだったというのは、なかなか驚き。ツイッターと相性が良く、かつ言葉の壁もない写真サービスだったのが大きいんでしょうかね。

ケビンさんはInstagramを「われわれの会社は「Story telling company」だと考えていて、Instagramはユーザーが何か人生におけるストーリーを語る行為を、より簡単にするためのサービス」と語り、「あなたの進行中の人生を見せてください」というコンセプトのサービスであると語ります。

モバイル特価型の形態を採用しているのは、この辺が理由ですね。写真ホスティングとはあくまで別ものということですね。Flickrやpicasaは写真を保存してストックするのに便利ですが、そんなに面白みないんですよね。逆にInstagramはストック出来なくて不便だけど面白い。瞬間のストーリーテリングの醍醐味ですね。

Instagramは、人の視線の共有だと思ってます。ツイッターは考えの共有。人が何を見ているかを覗くのは楽しいんですね。ソーシャルメディアって除き趣味だよなあ。そうした一歩間違うと下世話なダークサイドに落ちそうなものをinstagramはオシャレなフィルタリング機能が食い止めてるなと思いますね。フィルタリングは生々しさを消してくれます。フィルタリングによって虚構っぽくなるのが覗かれ、覗いている気持ち悪さを見事に打ち消してますね。

あと津田さんの、
今後のマネタイズは?

という質問に、
「いかにも広告」という形ではない広告の機会はありうると考えています。たとえばユニクロとかGAPが商品を面白いかたちで見せるとか。何かのブランドや商品にInstagramにsubscribeしてもらうとか、さまざまな可能性を探っている段階です。

という風に答えています。広告っぽく広告ってステマ?w
今の日本ならそんな風に揶揄されんだろーなー。

あとケビンさんのこの言葉、
「Instagramは初めての本当の意味での国際的なソーシャルネットワーキングサービスだ」
は同意。言葉いらんですから。写真の持つ訴求力は言葉に頼らないのが最大の魅力ですね。

南三陸長のホテル観洋の女将さんの話は、観光が復興に対して重要な役割果たすというテーマになっています。

女将さんは、「被災地には人がいません。だから観光客の方々――「交流人口」を増やすことが、復興にあたって非常に重要だと思ったんです」と語ります。

真面目な人ほど物見遊山の観光を避けてしまうけど、人が増えないと無理。なのでドンドン来てほしいと現地の人は考えているようです。

津田さんがセーシェル諸島を引き合いに観光によって経済を回していく方法は東北でもアリじゃないかと提案しています。

東北に限らず日本には観光資源が多い国だし、ホスピタリティは日本の誇れるモノの一つであります。言葉の問題で不便を感じられてしまっているのさえクリアできれば、日本は観光大国になれると僕も思います。春の桜なんてヤバいくらいキレイですよ。アメリカから帰国して心の底から実感しました。

県南三陸町伊里前地区の千葉さんのお話は、思想地図βの続編です。コミュニティまるごと高台移転を決定したその後、移転計画は思うように進まず、こういう現実に直面しているとのこと。
「しかし、震災から約11か月が経った今、時間が過ぎたせいか、少しずつ意思のズレと言いますか、意見の食い違いが出てきまして……。「私たちはここで生まれ育ったから、やっぱりこのまま同じ場所で過ごしたい」という方が増えてきたんです」

講という伝統のコミュニティ中心に高台移転を計画していたものの、そうそう意思疎通が測れるものでもないのですね、やはり。

このままいくと、個々移転を進めることになりますが、そうするとコミュニティの分断は避けられない。大きなジレンマに直面しているようです。

分断避難による地域コミュニティの断絶は例えば双葉郡は郡山と埼玉に避難しているグループがあったりして、それぞれで自治を進めて、やはり再び一つのコミュニティを取り戻せるかを危惧する声をあります。

ドキュメンタリー映画「立入禁止禁止区域・双葉 ~されど我が故郷~」は、双葉郡出身である佐藤武光監督による作品ですが、その辺の分断避難の難しさも捉えていました。

本当に今回の震災は範囲が広くてそれぞれの地域で問題になっていることが全く違うんですよね。これは現地に行かないとホントわからない。

ダウンロード違法化の記事は整理されたいい文章ですね。刑罰化が導入寸前の今、数年前にどんな議論が交わされていたか振り返ると、この話のムチャぶりがよくわかります。

日本人全体の0.何%であろう団体関係者のために国民全体を敵に回す覚悟でやってるんでしょうか、政治家のみなさんは。

端的にこの法改正は国民の生活の何の向上に役立っていると思っているんでしょうか。これで文化が豊かになればいいですが、実際にはビジネスモデルの陳腐化が主原因なので、細る一方です。

そもそも、なんのために法改正をするのか、根本を考えれば、これが意味ないことはわかりそうなものですが。

著作権関係は、本館でしょっちゅう書いてるんで、この辺にしときます。

Q&Aコーナーはドンドン増えますね。。
今一番分量が多いコンテンツになってますな。俺も何か質問してみるか。

速水さんの書評で、アメリカの性の規範について書かれていました。
アメリカって国はとにかく一枚岩じゃないんですね。何かにつけてバラバラで国全体で見るとたくさん矛盾を抱えているすごいヘンな国です。

性の問題に関しても国民性として、こうだ!と一括りに言えないんですね。モルモン教徒とかすごい性に対して厳格ですが、サンフランシスコとかでは性に対して非常にオープンだったりするし。
ホントによく一つの国として成り立ってるな、と思います。

まあ、本の主題はそこではなく、ネットデータから考察する男女の性関する嗜好の違いなのですが、男は即物的なものに欲情し、女は物語に惹かれる傾向という、あまり新鮮味のない結論が出ているようです。
あと、BLは自然な女性脳の機能らしいです。マジすか。。。

メルマガレビューですが、実は一番好きかもしれません。
「ほー、こんな奇特な人がこんな奇特なメルマガ書いてるんかー」と覗き見感覚ですね。

百度(バイドゥ)」の副社長/日本法人代表・陳海騰さんもメルマガやってんですね。

メルマガ購読者は多くは、その発行者の支持者なので、かなりトンがったこと書いても許されるんでしょうね。メルマガだらけで、みんなオープンに書いてくれなくなったから、島宇宙化が進行してるけど、例えば日本のアニメがそうであるように、島宇宙化でエッジの効きまくった個性的な作品がでたりとポジティブな面もあります。

そうそう、シノドスのメルマガって面白いんでしょうか?

今度是非レビューを書いてください。

こんなとこでしょうか。以上で終わります。

配信はこちら。
http://www.neo-logue.com/mailmag/index.html

ああ、ネオローグユニオンもあったわ。

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