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映画レビュー「リトル・ミス・サンシャイン」

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記事初出:2006年12月29日 seesaaブログからの引っ越し

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基本情報
「リトル・ミス・サンシャイン(Little Miss Sunshine)」(2006、アメリカ)
監督:ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス
脚本:マイケル・アートン
製作:アルバート・バーガー、デヴィッド・T・フレンドリー
出演:グレッグ・ギニア、トニ・コレット、 アビゲイル・ブレスリン、スティーヴ・カレル

サンダンス映画祭正式出品作品
東京国際映画祭最優秀監督賞、主演女優賞(アビゲイル・ブレスリン)、観客賞

公式サイト
http://movies.foxjapan.com/lms/

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ストーリーと映画情報
アリゾナ州に暮らすフーヴァー一家は、どいつもこいつも一癖ある連中ばかり、人間には勝ち組と負け組しかいないと豪語するお父さん、ニーチェに心酔して一切言葉をしゃべらないお兄ちゃん、ドラッグとポルノを愛するおじいちゃん、ホモで自殺未遂をはかった叔父のフランク、そんな家族をなんとかまとめようとしているお母さん、そしてミスコン優勝を夢見る9歳の娘オリーブ。カリフォルニアで開催される美少女コンテスト「リトル・ミス・サンシャイン」に参加するため、一家ははるばるカリフォルニアまでおんぼろのミニバンで旅をする。
サンダンス、東京国際映画祭などで絶賛された、ハートフル・ファミリーコメディ。10歳のアビゲイル・プレスリンは史上最年少で東京国際映画祭主演女優賞を受賞。

家族をモチーフにすることの困難さ
映画に限らず、家族を題材にした作品は、古今東西数多く存在します。家族は誰もが持つものであり、確実に人生の中で重要な位置を占めるものでもあります。それゆえ、様々家族もののドラマが繰り返し描かれるのですが、家族ものは、最も難しいジャンルでもあります。なぜなら、古今東西数多くの名作が存在する中で、その題材に新たな息吹を吹き込まなければならないこと、そして結論もあらかた決まってしまっている(見る人が期待する結論)。家族はとても重要であり、愛を持って一つとなるべきだ、というような。家族を題材に物語を作る時、ありきたりなアイデアではその困難さを乗り越えることができない。とてもたくさんのアイデアが必要なのです。

抱腹絶倒のアイデア満載
本作には、その素晴らしいアイデアが満載です。ともすれば重くなりがちな設定を見事に皮肉を交えて笑いに包んでみせる。家族の構成員はおかしな連中ばかり。その家族が娘のミスコン出場のために遠路はるばる夢の土地カリフォルニアへ。途中ミニバンが故障に見舞われる。トラブル続きの道中を象徴するかのように。しかし、まったく動かないわけでもなく、家族が一つになって押しながらエンジンをかければ動く。家族が一つにまとまれば、困難を乗り切れるのだ。旅の途中、おじいちゃんが死んでしまう。負け組になりたくないお父さんは、それでも死体をトランクに詰め、リトル・ミスサンシャインを目指す。途中警官に呼び止められる。この家族の絶体絶命のピンチを救ったのは、おじいちゃんの忘れ形見だった。口汚いおじいちゃんだったが、死してなお家族を守ってくれた。ただ、その形見がエロ本だったというだけだ(笑)そして最後のコンテスト、バラバラだった家族は、オリーブを中心にようやく一つになれる。。。

今年一番の「掘り出し物」でした。この映画。好評なようで嬉しい限りです。個人的にはアカデミー脚本賞の最有力候補です。ぜひご覧ください。