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映画レビュー「All That Jazz」

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記事初出:2006年08月17日 seesaaブログからの引っ越し

基本情報
「All That Jazz」(1979、アメリカ)
監督:ボブ・フォッシー(キャバレー、シカゴ(脚本))
脚本:ロバート・アーサー、ボブ・フォッシー
制作:ロバート・アーサー
出演:ロイ・シャイダー(ジョーズ、裸のランチ)、ジェシカ・ラング(トッツィー、ケープ・フィアー)、アン・ラインキング

カンヌ国際映画祭パルムドール受賞

公式サイト
http://www.fosse.com/

ストーリーと基本情報

ブロードウェイのステージに情熱を傾ける、ある振付師の葛藤と狂気の情熱を華麗なミュージカルシーンを織り交ぜて描く。ブロードウェイの人気振付師、ジョーは毎朝、大音量でビバルディのレコードをかけながらシャワーを浴びアスピリンと目薬を摂取し、鏡に向かって「It’s show time」とかたりかけて毎朝仕事に向かう。自分の仕事に狂ったように没頭し、苦悩しつつも華麗なダンスシーンを作り上げていくのだが、不摂生な生活もたたってか、ジョーは心臓病で倒れ入院することになる。しかし、かれは生死の境を彷徨う中できらびやかで退廃的なミュージカルシーンの幻や夢を見る。
ボブ・フォッシーが自らをモデルにしたとされる、ステージに狂気的な情熱を傾ける振付師を描いた傑作ミュージカル。

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今作のDVDです。まだ未見の方、必見です。


天才ボブ・フォッシー

20世紀最高のミュージカル作家と称されるボブ・フォッシー。トニー賞7度の受賞にアカデミー監督賞、カンヌ国際映画祭でも最高賞のパルムドールを獲得した伝説の振付け&演出家。73年には、アカデミー監督賞とトニー賞とエミー賞を同年に受賞している。このことからもわかるように、彼の活躍した場所は、ブロードウェイだけに留まらず、TV、映画の世界でもその類まれな手腕を発揮していた。映画の監督作品こそ少ないのだが(全6本)、それでも彼はアメリカ映画史上の重要な作家としての地位を確保している。
何故だかを語るのは難しい。しかし、この映画を見ればそれはわかる。この映画には、ミュージカルにしか描け得ない狂気と絶望と歓喜やその他のありとあらゆる人間的感情が凝縮されている。確かに彼は、ミュージカルという表現方法の限界を破り、ミュージカルの可能性を飛躍的に広げることに成功している。

肉体そのものが言語
彼の作るミュージカルは華やかなだけではない。「キャバレー」ではナチス時代のドイツのキャバレーで開かれる退廃的ショーを描き、今作では、ステージに全ての心血を注ぐあまり、精神も肉体も粉々になるさまを狂気的に描いてみせる。2002年にアカデミー賞を受賞した「シカゴ」に置いても、出世欲と物欲にまみれたショーの裏側を殺人も交えて見せる。「シカゴ」は軽快な犯罪ドラマといった赴きだったが、もし、あれをボブ・フォッシー自身が監督していたら、もっと重厚な作品に仕上がっていたのではないか。
この映画の中で描かれるものは、ダンスとステージに一生を捧げているかのような男の情熱、家族との葛藤と安らぎ、悲哀と歓喜、そして孤独といったようなものです。ラストの死の間際にジョーが迎えるダンスシーンは圧巻の一言。肉体から発せられる断末魔の叫びは、言葉に表すことは難しい。まさしく彼の作品においては、肉体そのものが言語なのだ。

アメリカ映画史に残る、もの凄い傑作です。
この映画を映画館で見る事が出来て幸せです。

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