Studygiftを巡る問題はいくつものレイヤーがあって、簡単には語りきれない問題なんですよね。
僕もそんなに頭よくないですから何も言わない方がいいのかもしれませんけど、学費がなくドロップアウトしたことある身としてはやはり他人事ではなく。。
僕がこのサービスを見て、一番最初に思ったことは自殺遺児など修学困難児童などに対する支援の窓口を広げることに繋がるんじゃないかな、ということでした。
サービスがローンチされて数時間後に知りましたので、支援対象者が坂口さんお一人なのも致し方ないだろうとも思いましたし、家入さんを始めとするリバティの方々の善意は疑うべくもない、さしてお金持ちでもない、薄給の僕ですが、何とか5千円くらいならだせそうだし、大きな可能性を秘めたこのサービス応援の意味も込めて支援することにしました。
僕自身もお金の都合でアメリカの大学をドロップアウトしないといけなくなった経験があるからなのか、なんとなく人事でスルーできない問題なんですよね、これ。
僕の個人的な経験からくる感想はサービスローンチ直後に書いたので、繰り返しませんが。
http://another.hotakasugi-jp.com/2012/05/17/studygift/
というか大抵の人間は学生生活を送ったことがあるので、だれにとっても人事ではないのでここまでヒートアップしてしまっているのかもしれませんね。
やまもといちろうさんが、すばらしいエントリーをお書きになられているので、僕ごときが今更なにを云ってもあんまり意味ないと思いますが、就学困難の子供たちを支援している団体はいくつもあるので、リバティさんは自分たちだけで完結しようとせず、そうしたスペシャリストの団体と連携をはかるのがやはり良いんじゃないかと思いました。ネットでの繋がり作りとお金を集める手法は家入さんは熟知しているでしょうし、そのノウハウをすでにあるサービスを結びつけるのが一番合理的な気がします。
そして、少し話はそれるのかもしれませんが、このStufygiftの騒動は、家入さんもリバティも意図せざるとこなんだと思うんですが、教育がどうあるべきかとか、学生や若い人たちが何を学ぶベきか、ということも問いかける結果になってるように思います。
批判には坂口さんは支援されるべきか否か、というようなものが多いのですが、それは彼女は真面目に学校の勉強をしていないのではないかという疑念です。
@akihitoさんがその辺素晴らしい指摘をされています。
Studygiftというサービスを評価するか否かは、とりもなおさず「どんな姿を大学生の理想像として示すのか」という話になるのではないでしょうか。これまで社会は「勉強するのが良い大学生だ」という考えから、奨学金というシステムを設定してきました(それが機能しているかどうかについては、ここでは別の問題とさせて下さい)。「頭の良さ」をお金に換えられるシステムをつくることで、勉強するインセンティブを生み出してきたわけですね。そしてStudygiftの場合ですが、「勉強ができない、勉強をしない学生でも一芸に秀でていればいいじゃないか」と考える人々が多ければ、同サービスは新たなシステムとして定着することでしょう。そして学生に対して「アピール力」を求め、それを追及するインセンティブを与えることになります。
坂口さんが実際にどういう方かは、僕は接したことがないのでわかりませんが、Google+やInstagramであれだけ有名になれる人ですから、一芸に秀でた「何か」を持っている人なんでしょう。そうしたスキルやセンスだってきちんと努力しなければ身に付かないと思うんですよ。
ただそれは今の日本の大学を出ないと学べない類のものかは別問題でもあります。そして実際に学校の成績が良かったとしても、studygiftの場合、それもアピールポイントにはなるでしょうが、絶対的な指標にはならないでしょう。
その意味で、支援者が学生に求めるものが、真面目に勉学に励むということ以外にも出て来ていることになるんですよね。
そういう人を支援するのは勿論よいですが、それって学校にいくための学費支援であるべきかどうかという話になってきます。実際坂口さんは学校以外での活動で実績があり、そこからたくさんのことを学んでおられるわけしょうし。
(しかし、そういう人でも卒業しないと就職先が見つからない、というのも何か閉鎖的だなあ、と漠然と思うとこです)
そういうトータルで何かを学ぶ意欲を持った人への支援、ということであれば坂口さんの紹介のあの文もある程度納得できる部分もあるように思います。遊び、いや遊びというと語弊が出るかもしれませんが、様々な体験から学ぶということもあり得えます。
翻って僕らは今の大学生に何を学んでほしいのでしょう。大学という期間も含めて、教育というものに何を求めるんでしょう。
アメリカはその辺明確です。極論かもしれませんがアメリカは、一部のスーパーエリートが国を動かしていますから、優秀なやつは援助されるし、そうでない人は援助されない。
それどころかハナから学校にも行けない子もたくさんいるわけです。
実際、文盲率けっこう高いですからね、アメリカ。アメリカは寄付大国でもあり、当然教育に対する寄付も盛んで多くの奨学金制度がありますが、それでもそのお金を公平に教育が行き渡るために使うのではなく、優秀な学生を支援するために使うのがアメリカです。格差是正を求める声も当然ありますけど、実行できるお金がそこに集まらんのです。でもそうやって選ばれたスーパーエリートがいるから国際競争力があるもとも云えるんですが。。
studygiftってそういうアメリカの方針にちょっと近いように見えます。でも家入さんの言葉「ただ困っている子を助けたい」を信じるなら、もしかして今のやり方では、本当に困っている子を助けることに繋がらない可能性もあるんじゃないでしょうか。
それよりも、共感を得る方法を知っているソーシャルメディア時代の優秀な子、言い換えると「ソーシャルネイティブ時代のエリート」を支援するには向いているんだと思います。
もちろん、ソーシャルメディアはこれからも存在感を増して行くでしょうし、そういうソーシャルネイティブエリートを支援・育てることは重要なことだとは一方で思いますが。それはそれでこれからの社会の力になる人材でしょうし。
でも、そういうエリートをバンバン支援して世の中を引っ張ってってもらおう的なアメリカ的な発想で日本は行くべきなのか、僕はよくわかりません。そういう合意があったようにも思えない。
一億層中流時代のみんな平等幻想を引きずっているだけかもしれないですけど、でもね、僕は日本人ってやっぱり良い人多いと思うんですよ。アメリカよりも他人のために何かしてくれる人って多いし、自分一人よければそれでいいって考えの人ってそんなに多くないもの、この国。
だので、一番バランスいいのは就学を支援している団体への支援なんじゃないかと思うんです。だれをどういう形でどれくらい支援すべきをバランスよく考えれる団体と、家入さんのようにソーシャルメディアを知っていて、かつシステム設計出来る人が組んだら足りない部分を補いあえるんじゃないでしょうか。
すでに多くの人がいろんなとこに書いていて、今更ぼくごときが云うても特に何も生まれやしないと思いましたが、やはり「他人ごと」ではなかったので書かせていただきました。
家入さんはじめ、リバティの方々の目に留まることがれば幸いです。
きちんとまとまってない文章で申し訳ない。
志を疑うものではなく、真摯に自分たちのフィールドから何ができるか、考えた結果なんだと思ってます。そこからさらに他のフィールドの人たちを連携取れるとホントにいいシステムになると思います。応援してますんで頑張ってほしいです。