ネットメディアは収益化に四苦八苦している中、アメリカでは昨年ごろから増えてきている「記事のような広告」に対してGoogleは「ノー」を突き付けましたか。
Google、広告混在コンテンツはGoogle Newsから遮断すると警告 – ITmedia ニュース
米Googleは3月27日、Webパブリッシャーに向けて、純粋な記事とアフィリエイトやプロモーション的な要素を混在させることはGoogle Newsの品質ガイドラインに反するとして、そうしたページを見つけた場合はメディア全体をGoogle Newsから遮断すると警告した。
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広告混在コンテンツとは、この場合はいわゆるネイティブ広告を指していると思われます。広告は広告としてバナーのように広告としてわかる形で表示しているものは該当しないでしょう。(該当したらアドセンスすら貼れないからねえ)
ネイティブ広告は、最近になって出てきた概念ですが、その源流はタイアップ記事のようなものの現代的な形式と言っていいと思います。
Blog on Digital Mediaの藤村厚夫さんによると、ネイティブ広告とは
「記事体広告」「タイアップ広告」のモダンな再来
と定義づけられるということで、以下の4つのポイントで定義づけています。
1. 固定的に設置された広告枠と異なり、ユーザー行動の主眼であるコンテンツと同様の表示形式を持った広告であること
2. 編集コンテンツに対し、その品質や表示トーンが一致する、もしくは近似するコンテンツ性の高い広告であること
3. ソーシャルやモバイルなど、読者のメディア接点の変化や多様性に最適化した広告形式であること
4. テクノロジーと人間の編集力が関与する余地のある広告形式であること
ウェブの世界での広告はバナーのようなディスプレイ型とリスティング型以外にはいまだに成功例がありません。そもそもバナー広告の効果の薄さはずっと前から指摘されていることですが、マスの影響力も低下傾向にあることからより効果的な広告の手法として注目を浴びているようです。
最近ではワシントンポストもネイティブ広告をやり始めたということでメディアパブさんが取り上げています。
メディア・パブ: ワシントン・ポストも着手したネイティブ広告
WaPoのサイトを見ていると、最近、編集枠もどきの広告枠に時々出くわすようになった。一昨日や昨日も、Opinion欄のページにその注目の枠が現われていた。以下は、Opinionページの最上部のスナップショットである。・・・
一瞥すると記事か広告かわからない体裁を取るのがこのネイティブ広告の特徴なので、読者としては非常に紛らわしいこの広告。日本ではステマと言われちゃいそうな手法でありますが、記事も広告も読者に対して有益な情報を提供するのが第一義だとするなら、こうしたスタイルで広告が配信されてもきちんとニーズにマッチするなら問題ないとも言えそうな気もします。
しかし、Googleはこうした記事はGoogleニュースのガイドラインに抵触するとの見解ということですね。各ニュースサイトがGoogleニュースからどれくらいのアクセス流入があるのかはわかりませんが、決して少ない数字ではないでしょう。こうしたページを見つけた場合は、サイト全体をGoogleニュースから遮断するとしており、それを回避するためには別のディレクトリを使うなど、何かしらの形で分離しておけ、と言っています。
ネットメディアにとっての新たな収益モデルとなるのか注目されているネイティブ広告ですが、運用にはかなり慎重にならないと炎上の火種にもなりますし、そのメディア全体の信用を一気に落とす可能性がありますので、非常に難しいですね。とりあえずGoogleは好ましくないという判断のようですが。
公正なメディア運営と継続性を両立するのは本当に難しいことですね。メディア産業の未来はどういう方向にあるんでしょうかねえ。
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