Google+は検索の巨人、Googleが提供しているソーシャルネットワーキングサービス(SNS)です。サービスリリース当初はあのGoogleのSNSということで、大きな話題となりましたが、すでにフェイスブックやTwitterといったサービスがある中で、どんなポジションを確保していくのか注目されています。
いまだその答えが出たとは言い難いのですが、それでもシンプルで見やすいインターーフェイスとGoogleの堅牢なサーバーに支えられて安定したサービスを提供し続けている結果、着実にユーザーは増加しています。何となくGoogleも本腰入れ始めているのかな、という気配もあり佐々木俊尚さんなんかも再び利用するようになってきたようです。
そんなGoogle+の利用方法をわかりやすく解説した本がこちら。電子書籍してのみ提供されています。
『これもうきっとGoogle+ガイドブック』の著者、鷹野陵さんはソーシャルメディアはいろいろと使いこなす方ですが、主戦場をGoogle+にしている方で、随分とフォロワーも多いですね。Twitterでの存在感よりもGoogle+でのそれの方がはるかに大きいように思います。
Google+好きがこうじて、もっとGoogle+を知ってもらうために作成されたのが本書。主にこれからやってみようという人向けに書かれた本なので、かなりわかりやすく解説されていて、難しい専門用語も極力抑えめ。目次もしっかり作られているので、自分の必要な点だけ読んでいくことも容易にできます。
鷹野さんは、電子書籍さえあれば白いご飯何杯でもいけるよ、というくらい電子書籍好きの専門家なのですが、この本の内容自体はGoogle+に関するものですが、著者のこの本に対する所作は図らずも電子書籍のあり方について考えさせられるものがあります。
Google+の何が魅力か
本書は主にGoogle+の設定や使い方の解説本ですが、「はじめに」と「序文」ではGoogle+の魅力と他のSNSサービスと何が違い、どんな特徴があるのかについて書かれています。Google+は炎上が起こりにくく、しかも手軽に他社と繋がれるのが魅力、とあります。しかし面白いのは、「はじめに」では著者がそのGoogle+のガイドブックを作ろうと思ったきっかけはむしろ炎上事件がだったことを書いていることです。
執筆のきっかけになった炎上事件を具体例として挙げているのですが、逆にGoogle+を利用していて良かったエピソードなども盛り込んだ方がバランスがいいんだろうな、とは思いますが、なぜ良かった具体例を挙げなかったのだろう。しかし著者がGoogle+が好きなことは行間から十分に伝わるのですが。
目的の内容を探しやすい
この導入編は、アカウントの作成からプロフィールの編集、インターフェイスの基本構成、そして退会方法までを網羅しています。スクリーンショットを豊富に使っているので、実際にPC画面を開きながら作業を進めるとき、わかりやすくていいでしょう。
そしてここは当たり前ではありますが、重要な点で目次がきちんと整っているところ。これは電子書籍なので、目次から目的の章に簡単に飛べます。紙の本の解説書の場合、ここが面倒なところで、探したい操作方法をなかなか見つけることができないことがよくあります。しかし、電子書籍は検索機能もついていますから、探しやすいんですね。目次リンクと検索によって、解説書の分野では明らかに紙の書籍よりも電子書籍に優位性がありますね。
きちんと最新情報が反映されている
そしてこの本が発行されたのは2012年の5月なのですが、僕が読んだ2013年3月末の時点で、このような記述が。
2013年3月7日にカバー写真へ登録できすサイズが大きくなったばかりなので、本稿執筆時点では上部にこのような表示がでます。
via 第2章(10)
きちんとアップデートされて最新の情報が反映されています。これも電子書籍ならでは。紙の本でも重版かかった段階で直しが入ることもありますが、電子書籍なら素早くアップデート作業ができて仕様変更があってもわりとすぐに反映させられます。なので、いつ買っても基本的には最新の情報がこの本の場合、手に入ると思っていいいでしょう。(著者のがんばり次第ですけどね)
このアップデートのしやすさも解説書やガイドブックなどのジャンルで考える際には電子書籍の方がやはり有利。例えばフェイスブックの解説書は数多く出ていますが、どの本が一番最新の情報を掲載しているのかわかりません。SNSサービスは仕様変更は日常茶飯事なので、ほとんどの紙の解説書は陳腐化している可能性もありますね。売れてなければ重版されず直されないままってこともあり得ますし。その点電子書籍はデータを入れ替えればいので、楽。
この『これもうきっとGoogle+ガイドブック』はGoogle+に関する仕様の変更などに人一倍敏感な人が著者ですし、著者もちょくちょく内容のメンテナンスしていますので、これを手に取ればとりあえず最新の解説書が手に入ると思って間違いないと思います。
これよりも後に発行された本があるのかないのかわかりませんが、この本の方が最新情報を反映している可能性もあります。電子書籍に詳しい人ならではかな、と。
紙VS電子書籍VSウェブ
ただ、反対に電子書籍のあり方、という点で電子書籍のとウェブサイトやブログを比較した場合に、どんな優位性があるのだろうという疑問も湧きます。単純な情報のアップデートのしやすさではウェブの方が電子書籍よりもしやすいですから。では、どんな優位性を提供しないといけないのか、ということを著者のこの本に対する所作に感じますね。頻繁に仕様変更のあり得るサービスの解説書を電子書籍というパッケージにして提供する場合、ウェブに対してどんな優位性があるのか。
今後書いてほしいこと
その意味でこの本は単純なGoogle+の解説だけでなく、電子書籍のあり方も突きつけているなあ、と感じます。
今後著者に、Google+の企業ページの運営について書いてほしいとも思っています。Google+はそれ単体で完結せず、Googleの様々なサービスと連動することに特徴があります。Googleドライブやドキュメント、マップもですし、Googleの基幹サービスである検索とも連動します。
なので、Google+に企業やお店がページを持つことは、単に1つのSNS上にページを持つだけ以上の価値があります。しかし、その他サービスとの連動性ゆえに運営もそれなりに難しかろうとも思うのです。その解説書は今後、必ず必要とされるだろうと思います。
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