今朝もドコモ iPhone導入判断できずという妙なタイトルの記事が出ていて、ドコモ迷走やなあ、という印象を強くした次第ですが、このインタビューはいろんな意味で興味深いので紹介する。
docomo IDがターニングポイント:ドコモが取り組む「新しいキャリア」の姿とは?――NTTドコモ 加藤社長に聞く (1/3) – ITmedia プロフェッショナル モバイル
スマートフォンの普及期において市場が変化する中、NTTドコモはどこに軸足を置いていくのだろうか。“ツートップ”で話題を集めた夏モデルから、サービス、インフラに至るまで、代表取締役社長の加藤薫氏に聞いた。
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加藤社長の独占インタビューだそうですが、ポイントは以下のような感じ。
- docomo idを基盤にOTT(オーバー・ザ・トップ)に進出
- ツートップ戦略の今後。大量機種を新規販売する戦略は取らず
- 他者がつまづくインフラの品質向上に努力。人口カバー率などの指標の統一も必要
という感じですか。
docomo ID導入でgoogleやfacebookと戦う
ドコモメールがなかなか始まりませんが、今後のドコモの浮沈のカギを握るのはdocomo IDとのこと。スマートフォン時代になり、通信キャリアが増大するトラフィックを支えなけれないけないなか、コンテンツを垂直統合で売るiモードモデルが崩れたので、次の一手が必要なのはその通り。ドコモはその戦略として通信回線契約者以外にもドコモのサービスを使えるようにするdocomo ID戦略を打ち出しています。
すでに通信キャリアを通さずにコンテンツを供給する状態が確立されてしまっていますので、ならばドコモのコンテンツ・サービスも通信キャリアに依存しない形で提供し、ドコモサービスとの接点を増やしていこうということですね。
さらに日本国内にとどまらずにOTTサービスを展開していく予定だとか。さて、これは上手くいくのでしょうか。ここでの競合相手はgoogleやフェイスブックなどのグローパルプラットフォーム企業ということになります。圧倒的に後発なドコモがどこまで食い込んでいけるのか、またどう食い込んでいくつもりなのか。
訴求力の1つとして、決済フォームの存在を上げています。ドコモのIDを持つ者なら、それであらゆる決済ができるようになると。今でもケータイ料金で一括で支払う方法が日本にはありますが、その方法論をdocomo IDにも適用するようです。
決済の煩わしさは、ユーザーにとっても事業者にとっても一つのネックです。ドコモは今でも6000万の契約者がいますので、6000万人が利用可能な決済プラットフォームなので、これは競合OTTに対してアドバンテージとなるでしょう。
決済プラットフォームといえばpaypalですが、クレジットカードがないと使えないというのは日本ではデメリットになってますね。日本人のクレカ恐怖症はなんなんでしょうね。
ドコモなら支払はコンビニ払いや、口座引き落としも選択できますし。
ただ、それは海外展開でのメリットになるとは思えません。
決済のためだけにdocomo IDを契約するなんていう人は当然ほとんどいないでしょうから、コンテンツの充実も大きなカギになります。現在はdビデオやdアニメストアというサービスが順調に会員数を(店頭で訴求することによって?)、順調に会員数は伸びてるらしい。アクティブユーザーはどれくらいいるのかね。
映像サービスは僕の分野なので、docomo IDのサービスが開始したらdビデオは契約しようと思ってます。割と使いやすいという評判も聞くのでね。
ここに最近、いろんな異業種の買収をしていますが、それらのサービスがどうかかわってくるのか。うまいことシナジー効果というか魅力的なサービス・コンテンツが展開できるなら面白いとは思いますけども。
docomo ID戦略は、iモード時代の通信契約からコンテンツ販売に結び付ける戦略とは逆向きを目指すということですね。サービスを広く利用してもらい、ドコモサービスに触れる機会を大くして、通信契約につなげていく。
ただインタビューを読んでもいまいちピンとこないのは、ドコモらしさの追求なんですよね。何をドコモらしさと考えているのでしょう。AppleやGoogleにはどんなサービスを展開しても明らかに「らしさ」を感じるんですが、ドコモらしさのイメージが湧かない。加藤社長自身にはその「らしさ」が見えてるんでしょうかね。
ツートップ戦略のメッセージは今後はリリース端末を絞り込むということ
日本のメーカーさん受難の時代ですな。本当にいい端末を作らないことには、それもギャラクシー以上のものを作らないと売ってくれないってことですね。ラインナップはある程度絞り込まれ、その中から最も優れたものを選抜して押していくとのこと。
iPhoneだせばいいんじゃないかと思うんですけど、docomo IDの提供するサービスを展開できなかったら意味ないということなんですかね。でも、キャリアも端末も関係なくサービスを提供するのがdocomo IDならiPhone出してもいいんじゃないと思うんですが、ダメなんですか、そうですか。
携帯作ってきたメーカーも淘汰が始まりますね。御三家すら例外じゃないと示したのがツートップ戦略でしたし。
でも通信事業者として一番大事なのはインフラの品質だよね
競合のauがLTEエリアと障害でやらかしていましたが、
LTE エリア虚偽表示問題、さらには通信障害にも揺れる KDDI — iPhone 5 ユーザー満足度調査でも“完敗”
通信業者にとって、あるいはこれからドコモが目指すサービス提供にとってもきちんと利用したい時にいつでも繋がり利用できることが最も重要なことです。
さらにエリアのカバー率などを示す指標が各社計算方法がバラバラな状態は良くないと指摘。その通りで、これは加藤社長の言うとおり統一してもらいたいですね。
エリアのカバー率については全キャリアで(指標を)統一すべきところは統一すべきです。各キャリアが勝手にやるのがよくない。全事業者と総務省が共同で、お客様の方を向いて、透明性のある新しい統一指標を作るのが正しいでしょう。
なんだかんだ言って契約数6000万は大きいので、それだけの顧客基盤があればいろんなことができそうな気がするんですよね。
docomo IDの成功は、ドコモのコンテンツ、サービスを利用するメリットを強く明確に打ち出して、内容も充実していれば行けなくはないでしょう。現状そこがあんまり見えてこないので不安が先行するのですが。
迷走なのか、英断なのかは今年11月に開始される予定のdocomo IDにかかっていそうです。
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