記事初出:2005年07月23日 ミクシイのレビューからの引っ越し
ケン・ローチ監督を並んで、僕が最も尊敬する監督、イランのアッバス・キアロスタミ監督監督の代表作です。
この映画は、「ジグザグ道三部作」の二本目の作品です。一本目「友だちの家はどこ?」で舞台になった村に大地震が襲って、そのニュースを聞いたキアロスタミ監督が映画の出演していた、少年の安否を探して回ったときの事を再現ドラマとして映画にしたものです。
結局、少年の所にはたどりつけないですけど、地震で家を失っても笑顔を失わない人々の力強さに感動します。
そんで、この映画のラストカットは、個人的には映画史上に残るベストカットですね。
ネタバレになっちゃうけど、書きます。
主人公の車がものすごい急な坂道を登るため、スピードを上げます。そこの坂道の前でヒッチハイクをしているおじさんがいます。彼は「乗せてくれ~」と叫んでるんですが、ここで停まってしまうと、坂道を登るために助走をつけた意味がないので、車はおじさんを無視して行ってしまいます。
でも、車は結局登りきれずに、途中で停まってしまい、くぼみのような所にはまってしまいます。その時、坂道を登ってくる人は一人。さっきのヒッチハイクのおじさんです。さっき無視されたにも関わらず、おじさんは、車がくぼみから脱出するのを、後ろから押して手伝ってくれるんです!
この一連の様子を、ものすごい遠くからロングショットで撮ってるシーンなんです。
ほんのちょっとした親切なんですけど、大地震に見舞われた後に、こういうちょっとした親切は胸に沁みますね~。マジでこのシーンは感動しました。
そんで、このキアロスタミ監督作品も、役者の演技がいい!プロの役者は一切使わず、素人に演じさせる手法です。素人から、素の感情を引き出すテクニックは、キアロスタミに叶う人はいないっすね。
この手の手法の映画は好きなんで、よく観るですけど、やっぱキアロスタミのが最高!
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