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映画レビュー「This Film Is Not Yet Rated」

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記事初出:2006年12月25日 seesaaブログからの引っ越し

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基本情報
「This Film Is Not Yet Rated」(2006、アメリカ、ドキュメンタリー映画)
監督:Kirby Dick
製作:Evan Shapiro
出演:Kirby Dick、Becky Altringer、アリソン・アンダース(映画監督)、アトム・エゴヤン(映画監督)

ストーリーと映画情報
映画作品中の暴力、性描写などを審査するMPAAレイティングシステムの実態に迫ったドキュメンタリー映画。不透明な審査基準、匿名で構成される審査メンバーなど、厚いベールに包まれたレイティングの業界の裏側を探る。俳優弁護士等のインタビューと監督と監督が雇ったおばさんの私立探偵が、レイティングメンバーを探るシーンとで構成される。インタビュー中、映画監督達は、審査基準が、インディーズ映画とメジャー映画であきらかに違うのではないか、男女のセックスシーンと同性のセックスシーンとでは、審査基準がちがっているのではないかと、様々な意見を忌憚なくぶつけていく。そして監督と探偵(と言っても普通のおばさんなのだが)は、レイティングメンバーを素性を次第に明らかにしていく。

自然と映画のくっつけられているレイティングマーク
映画をみたことをある方なら、PG,PG-13,R-15などのマークを目にしたことがあるでしょう。それらは、僕らにとって映画の内容を吟味する際の、一つの材料となっています。しかし、これらのマークを誰が、どのようにつけているのかを知っている人は以外と少ないのでしょう。
本作は、そんなかくされた映画のレイティングシステムにスポットを当てた作品です。

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不明瞭な審査基準、そして構成メンバー達
そもそも、映倫規定なる自首規定制度が儲けられたのは、政府による表現抑圧の介入を防ぐためでありました。ようするに、政治からの表現の自由を守るために、みずからで審査基準を儲ようことです(MPAAの成り立ちについてはwikipediaを参照してください)。
しかし、それであるなら、なぜ審査基準は公開されないのか。審査基準を公開すれば、例えば、この作品を15歳以下の人達に見せたいとすれば、その審査基準に従いながら映画を製作することもできる。制作者側とすれば。どこがボーダーラインなのか、確認しながら映画の描写をどこまでするのか、決めることができる。しかし、基準がわからないばかりに、基準以上の描写をしていしまったり、若しくはレイティングを恐れるあまり、制作者側で描写にブレークをかけてしまうことがありうる。
またMPAAのメンバーはほとんどメジャースタジオ出身の人間で構成されている。そうした人選は、レイティングを決定する際、なんらかの歪みを生み出してはいないだろうか。

表現の自由を担保するために設立された組織が、今は表現の自由を抑制することに貢献してしまっている事実。なんとも皮肉な事態だ。